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研究室案内(医師向け)

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  • 29年度医局紹介年報より(PDF 458KB)
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沿革

福岡大学筑紫病院消化器内科 「消化管研究室」と「肝胆膵研究室」の沿革です。

消化管研究室の沿革

 福岡大学筑紫病院消化器内科・消化管研究室は、昭和60年7月の福岡大学筑紫病院の開院に伴い八尾恒良が内科消化器科の教授に赴任したことから始まります。
開設時の当初メンバーは、わずか7名(消化管研究室は、4名)でしたが、消化器腫瘍からクローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患まで、あらゆる分野の消化器疾患の診療と臨床研究を開始しました。
特に、X線造影検査や消化器内視鏡を用いた正確な画像診断を礎とした研究室でした。 当時研究室の人数は少ないものの、研究室からは数多くの臨床研究が論文化されました。

 平成2年から松井敏幸助教授(現教授)が九州大学第2内科から赴任し、大腸上皮性腫瘍の自然史の解明などの学術発表や小腸内視鏡検査、クローン病の大腸狭窄に対する内視鏡的拡張術を勢力的に行い、炎症性腸疾患患者のquality of lifeや予後をよりいっそう改善することができるようになりました。
また、平成9年に第39回日本消化器病学会大会、平成11年に第58回日本消化器内視鏡学会総会、平成12年に第55回日本大腸肛門病学会総会を主催しました。

 平成17年10月に松井敏幸が消化器内科の教授に就任しました。
臨床において、小腸カプセル内視鏡やダブルバルーン小腸内視鏡をいち早く導入し、原因不明の消化管出血やあらゆる小腸疾患の非侵襲的診断が可能となりました。
さらにCrohn病の小腸狭窄に対してダブルバルーン小腸内視鏡を用いたバルーン拡張術を導入し内視鏡治療が可能となりました。 また炎症性腸疾患に対する新規投薬治療にも積極的に取り組んでいます。
また、消化管上皮性腫瘍に対する粘膜下層剥離術の導入により内視鏡治療が飛躍的に増加し、診断においても特殊光を用いた拡大内視鏡による早期胃癌の診断法を開発し、食道や大腸にも応用しています。

 平成23年10月には第82回日本消化器内視鏡学会総会を主催しました。
また平成23年10月より炎症性腸疾患先端治療学講座を、さらに平成24年4月から産学協同で北部九州ならびに国内において臨床研究と高度診療を遂行することを目的としてIBDセンターを開設いたしました。
初代部長に平井郁仁先生が就任され、平成28年10月から診療教授として御活躍されています。炎症性腸疾患(クローン病+潰瘍性大腸炎)患者診療数は平成29年で年間1095人におよび、国内でも有数の症例数を誇ります。
平成27年4月より八尾建史が診療教授に就任しました。 また医局員の数も増加し、現在34名(肝胆膵グループを含む)が学内に所属し現在に至っています。 平成29年11月には第72回日本大腸肛門病学会を主催しこれまでで最大の2755人の参加者を数えました。
このように最先端の消化管疾患の診断や炎症性腸疾患患者の診療、内視鏡治療を行う本邦における有数の施設であり、特に炎症性腸疾患患者に対しては多数の臨床研究や治験薬の臨床試験を行っており、同疾患の診療患者数においても九州ではトップです。 正確な診断に基づく適切な最新の消化管治療や科学的手法に基づいた臨床研究が本研究室の重要なテーマです。



肝胆膵研究室の沿革

 福岡大学筑紫病院消化器内科の肝胆膵グループは、昭和60年7月の福岡大学筑紫病院の開院から始まり、当時あまり普及していなかった超音波検査を直ちに導入しました。
肝細胞癌、胆管癌、膵癌などの腫瘤性病変、慢性肝炎、肝硬変などの、び漫性肝疾患や急性胆嚢炎、急性膵炎などの炎症性疾患など全ての分野の肝胆膵疾患に留まらず、急性腸炎、炎症性腸疾患や消化管腫瘍などの消化管疾患に対してもスクリーニングから精密検査として超音波検査を用いて研究してきました。

肝細胞癌に対するラジオ波焼灼術経皮的・エタノール注入療法・経皮経肝胆管・胆嚢ドレナージ術や膵嚢胞ドレナージ術など治療にも超音波を応用しました。また放射線科の協力の下、肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術や食道胃静脈瘤に対する内視鏡治療として内視鏡的硬化療法・内視鏡的結紮術を積極的に行ってきました。

平成4年に坂口正剛が福岡大学第一内科から赴任し、超音波診断学や教育システムが強固になりました。B-モード画像だけでなく超音波カラードプラ法、超音波造影剤を用いて腫瘤性病変の質的診断を行い、様々な新知見を得ました。また系統的な肝生検病理診断によりウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎などの、び漫性肝疾患や、肝細胞癌、肝癌類似病変などの肝腫瘤性病変の診断と治療に貢献いたしました。
病理組織学的裏付けを取る確実な臨床研究を精力的に学会で発表し、学術論文で報告しました。
内視鏡の分野では、数多くの胆膵領域の疾患に超音波内視鏡検査を施行し、さらに積極的な超音波内視鏡下穿刺吸引療法による病理学的診断の裏付けも行っています。
内視鏡的逆行性胆膵管造影、内視鏡的乳頭括約筋切開術、経皮経肝胆道鏡下截石術を導入し、肝胆膵疾患全般を網羅できる研究室になりました。
超音波内視鏡や内視鏡的逆行性胆膵管造影関連手技の検数は全国トップクラスを誇ります。
平成6年に坂口正剛が日本超音波医学会の全国学会を開催し、その後研究室員が増加しました。

平成21年10月に植木敏晴が准教授に就任後、肝疾患に加え、胆道癌、膵癌、自己免疫性膵炎など種々の胆膵疾患が増加しました。特に総胆管結石や胆嚢結石による急性胆道炎は全国有数の症例数になり、多くの新知見を学会で発表し、学術論文で報告いたしました。また胆道癌、膵癌の診断だけでなく、非切除例の胆管閉塞や十二指腸閉塞に対するステント留置術に加え抗癌剤治療にも積極的に取り組み、地域医療支援病院としての一役を担っています。

開院以来、一貫して肝胆膵研究室の医師が自ら超音波検査を行っています。
超音波関連手技と内視鏡関連手技を絡めて、肝胆膵領域のあらゆる疾患の診断から治療まで、人にやさしい医療を目指しています。 また教育機関として学生の卒前・卒後教育に取り組み、肝胆膵領域の専門医の育成に努めています。